茂呂運送（東京都練馬区）は9年前、それまで会社を経営していた義母と夫をたて続けに病で失い、現在の吉田亜紀社長が会社を引き継いだ。「主婦から急に社長になり戸惑ったが、とにかく”ちゃんとした良い会社”にしようと頑張ってきた」という。「社歴は90年と長いのだが、今まで認証といった類は一切取得してこなかった。しかし3年前に『健康経営』の認証を取ってからは、運送業界で運送の仕事をしている限りは、運送としての認証を取ってやっていく方が社員も誇りを持ってくれると思った」と振り返る。
　また、同社は自治体の仕事を主体としていることもあり、「契約先や取引先にとっても、Gマークのようなちゃんとした認定を取得している企業に任せるという方が良いだろう。明確な条件ではないが、入札案件も多いので、認証を持っているのといないのとでは、信用度も違ってくるだろう。こういう認証の取得を常態化し、継続していくことが必要。継続していくことで表彰制度も目指したいし、点呼等でもITの使用も可能になるというので、会社の存続と将来的なことも視野に入れ、この認定は絶対に取っておくべきだと取り組んだ」と述べる。
　「『健康経営』の次に『働きやすい認証制度』も取ったが、労務管理や健康管理と基本は一緒なので、それほど難しくはなかった。Gマークでは、それに点呼や行政的なことが加わるだけ。Gマーク認定の発表直後、労働局による安全衛生優良企業の認定も取れた。全てがリンクしていて、やるべきことをやっていれば申請できる。そして、それら基本的なことを忠実に誠実に続けて習慣になっていくことが大事なんだと実感した」と吉田社長。
　「Gマークを取得する2年前からグリーンエコ・プロジェクトに参加した。ドライバーも最初のうちは面倒がられたりもしたが、Gマークを取って良い会社にしたいという思いとその必要性を、一人ひとりに話したり手紙を書いたりして理解してもらった。セミナーには自分が参加し、色々な方と出会い、受けた様々な刺激や情報を社に持ち帰り、社員に伝えている。それで始めたのが、ワンボックス車両の傷点検。かすかだが細かい傷が多くついていたので、出庫時と帰庫時に3人体制で車両周囲の傷を確認し合うようにした。併せて自分の愛車と同じように大切に乗ってほしいと話したところ共感してくれて、丁寧に乗るようになったし、万一傷をつけてしまった時も申告してくれるようになった。」という。
　突然、会社を引き継ぐことになって、とにかくちゃんとした良い会社にしたいという思いでやってきた。言葉だけでは漠然としているが、認証制度のように第三者機関からの評価をいただくことで、外に向かって堂々と頑張っていますと言えるし、何より社員たちも誇りに思って仕事をしてもらえることが一番」と語る。
--- 物流ウィークリー 令和5年3月2日号掲載 (2023.03.20更新)

　【東京】茂呂運送（吉田亜紀社長、東京都練馬区）は、従業員の安全と心身の健康を確保するための対策に力を入れており、1月に厚生労働省のホワイトマーク（安全衛生優良企業認定）を取得した。2022年12月にはＧマーク（安全性優良事業所認定）を取得しており、経済産業省の健康経営優良法人認定ブライト500、国土交通省の働きやすい職場認証（運転者職場環境良好度認証）など、取り組みを形にしている。
　「いずれの制度、認証も取り組むことは共通する。日々の取り組みを習慣化すれば苦にはならない」と、吉田社長。「働く仲間、荷主・取引先、地域との共生をかなえたい」との思いから19年度から健康づくりの取り組みに着手した。ドライバーの食生活の改善に向けた管理栄養士による個別相談や、パーソナルトレーナーを招いてのストレッチの講座など様々な取り組みを進め、自身も東京商工会議所の健康経営アドバイザーの認定を取得した。
　「取れるものは取る」の姿勢で、各種認証・認定の取得を推進。こうした取り組みは「過去3年間労働安全衛生管理の重大違反がない」ことや、労働者のメンタルヘルス、過重労働防止など幅広い分野での積極的な取り組みを求めるホワイトマークの要件に｢必然的｣に合致した。トラック運送事業者では数少ないホワイトマークの取得に至った。
　Gマークについても、20年から取得に向けた取り組みを始めたが、東京都トラック協会（浅井隆会長）などが展開するグリーン・エコプロジェクトに参加したことで「Gマークに求められる取り組みが分かり、かつ習慣化」されたという。また、Gマーク取得を目指し、ドライバーや運行管理者など全社員が一丸となる効果もあった。
　3月には健康経営優良法人認定が控える。「（中小事業者の上位500社が対象の）『ブライト500』の認定を維持したいが、取り組み2年目（の22年）に思いがけず取得できたため、どうなるか」と話す。その上で、「継続は力で、ここまで取り組んできたことをやめずに続けるだけ」と力を込める。
--- 物流ニッポン 令和5年2月24日号掲載 (2023.03.20更新)

　【東京】茂呂運送（吉田亜紀社長、東京都練馬区）は、かねて従業員の健康管理に力を入れてきた。 その結果、3月に初めて、優良な健康経営を実践している健康経営優良法人のうち、中小事業者の上位500社が対象の「ブライト500」に認定された。
　2021年3月に優良法人に指定されてから、1年でのランクアップ。 吉田社長は「特に変わったことをしているわけではない」と謙遜するが、自身も、健康経営の必要性を伝え実施へのきっかけをつくる人材を認定する、東京商工会議所の「健康経営アドバイザー」を取得するなど、取り組みのレベル向上を図ってきた。
　更なる高みを目指す中で、特にドライバーの食生活の改善に注力。 定期健康診断の結果、「食生活に問題がある」とみられる要所見者には、管理栄養士の個別相談を受けてもらい、食生活の改善に努めてもらう。 「専門家のアドバイスなら耳を傾けてくれるので、会社として取り組む意義がある」と強調する。
　また、生活習慣病の予防・悪化防止に向けて、営業所の自動販売機に各飲料に含まれる糖分量及びカロリー量の一覧を掲示し、注意を促している。 更に、夏場には熱中症対策として水分摂取が欠かせないが、糖分を取り過ぎないよう、ドライバーには乗務ごとにミネラル入り麦茶か経口補水液を渡している。
　パーソナルトレーナーを招いてのストレッチ講座も毎月実施。 参加者には好評だが、「勤務シフトが合わずにどうしても参加できない人がいるのが（この業種での）永遠の課題」としている。
--- 物流ニッポン 令和4年4月29日号掲載 (2022.05.01更新)

　【東京】茂呂運送（吉田亜紀社長、東京都練馬区）は、安全・安心な職場環境の構築を進める中で、社員の意見を積極的に取り入れながら改善を重ね、各種認証の取得に結び付けている。今春立て続けに認定された「健康経営優良法人（中小規模法人部門）」、「働きやすい職場認証（運転者職場環境良好度認証）」もそうした取り組みの一環。吉田社長は「続けることが大事」として、新たに定例のストレッチ講座を設けるなど、社員の健康増進や楽しく元気に働くための仕組みを常に工夫している。
　健康経営優良法人の認定は、2020年9月の全国健康保険協会（協会けんぽ）東京支部の「銀の認定」を受け、さらなる高みとして目指し、21年3月に認定を受けた。これと並行し、ドライバーの確保・育成に向け、働きやすい職場認証の取得にも取り組み、4月に実現した。
　同認証については制度を知ったのは1年前で、二つの認定に向けた準備を短期間かつ同時に進行。「従業員の健康管理と労務管理、その目的は異なるが、取り組むことは共通する。これまで積み重ねてきた取り組みを継続すればよく、新しいことを始める必要はなかった」（吉田氏）と説明する。
　地方自治体からの委託による地域内の輸送業務がほとんどで、ドライバーの平均年齢が60歳を超える同社では、若手人材の採用が経営課題となっている。このため、ハローワークの求人票に働きやすい職場認証のロゴマークが表示されることで「若い人へのアピール効果」を期待しているという。
　取得に満足することなく、更なる改善につなげていくため、新たな取り組みもスタート。パーソナルトレーナーの金子由美氏を講師として招き、ストレッチの講座を4月に開講した。
　「本当は朝の点呼時に行いたかったが、勤務シフトがそろわない」ことから、当面は毎月第1金曜日の夕方に営業所の会議室で行う。吉田氏は「ドライバーの多くが悩まされている腰痛の改善や、けがの予防などにつなげていきたい」と話している。
--- 物流ニッポン 令和3年7/13日号掲載 (2021.07.18更新)

茂呂運送は「健康企業宣言」で全従業員の健康づくりに積極的に取り組む事を宣言致します。

（2020.06.07更新）

東京都練馬区で吉田亜紀社長が率いる茂呂運送は、60年の社歴を持つ。 「創業者は夫の母方の祖父。義母が練馬区で受け継ぎ、一般企業で働いていた夫が後にこの会社に戻り、義母から会社を引き継いだ。 私は外で働いた経験が無く結婚して家庭に入ってしまったので、義母と夫が2か月違いで立て続けに亡くなった時は途方にくれ悲しんでいる暇もなかった」と吉田社長。 「経営のすべてを一人で切り盛りしていた夫は病気の手術後、順調に回復していたので本人も周囲もすぐに仕事に復帰すると信じていた。 急変してわずか1か月で亡くなった時、私も社員も誰も経営のことが分からず、まだ未成年の子供二人を抱えながらも、社員さんや周囲の方に力を借りて必死に仕事をした。 今思い返しても、毎日どう暮らしていたか思い出せない」と話す。
「一生懸命勉強し、運行管理者の資格も取った。 でも、現場を分かっている方に指示や注意をされるのでなければ言われる側も納得しないと思い、最初は嫌がっていたベテラン社員を説得し、運行管理者の資格を取ってもらった」。 これに限らず、「何かをお願いする時は、手紙とか紙にできるだけ詳しく丁寧に、やってほしい理由を書いて理解してもらうようにしている」という。
「初めはとにかくがむしゃらに頑張っていたが、ここ数年で法制も色々と変化し、社内を見直すと社内規定などを整備しなくてはいけないと気付いた。 現在は『STC1%クラブ』のサポートを受けながら、自信を持って次の経営者に受け渡せる会社づくりをすることが目標」と語る。

--- 物流ウィークリー　5/25号より　　（2020.06.01更新）